11. コンタドールプロジェクトの全容について
唯一の目的は、ワインに色・アロマ・フレーバー・テクスチャー、そしてこの地の「音」までもを反映させることであった。 我々のワインを飲む人が、たとえどこに居ようとそれらを感じ、元気づけられ、この地の風景までもが目に浮かんでくるような、そんなワインを作ることだった。 我々の醸造は、最良の房のセレクションがベースになっている。
コンタドールのワインになるぶどうの選定は、ぶどう栽培歴75年以上のベテランである私の父、私が絶大な信用を寄せるスタッフであり、幼少時代からぶどうに造詣が深い私の兄によって1つ1つ行われる。彼らは決して急がず、しかしながら休むことなく畑を辛抱強く歩き回り、房を収穫する。 甘く美味でアロマにあふれた果汁を含む小さな「ばらけた」これらのぶどうは、自発的で自然なアルコール発酵を経て、フランス樽工の手による洗練されたバリカ(樽)で熟成される。 この時、ワインの性質を損なうような暴力的なトラシエゴ(デポジットを移し替えて行う澱引き)と、不必要な処理は極力控えている。 コンタドール2005は、今日までリオハで20年以上醸造してきた私に、最も喜びと満足を与えてくれたワインであり、最もユートピア的アイデアに近づいたものである。しかしこれは理想を追い求めた結果というより、純粋にこの土地が表現されていること、またその愛が反映されているワインであるからであろう。 年を追うごとに、望み、期待して追求するレベルが上がっていく一方で、我々はこれを毎回克服し続けている。ぶどうが生まれ、成長、成熟しワインのための果汁となる畑は、リオハの私の村に位置するものだ。トローニョ山脈の麓に位置する畑は、山脈が自然の壁として機能しているため、冬は冷たい風からぶどうを守ってくれる。また、大西洋からの冷たい風が、地中海の影響を受けた夏の大陸性気候を涼しく穏やかなものとしてくれる。そして、これらはワインに如実に反映される要素となるのだ。 以上が、コンタドール・プロジェクトの精神と魂である。評価というのは、各々の仕事とそれに伴う犠牲とともに訪れた、また訪れ続けているものだが、一番大切なのは方向を見失わないこと、そして、この規模のプロジェクトを達成するには唯一、自分自身とこの地に誠実であること、我々の手にある可能性と有効性を管理することであるとの自覚を持つことだ。
コンタドールのプロジェクトが歩み始めて、まだ10年も経っていないが、我々のワインは国際的に認められ、すでに「オリンポス山(最高峰)」に位置している。並みいる世界レベルの頂点に仲間入りできたことに、とても誇りを感じている。 ベンハミン・ロメオ・イレラ
|
<<<10.「ヴィノテーク・ワイン・バイイングガイド」田崎真也氏テイスティングコメント |
ビオデナミにこだわった「ベンハミンロメオのワイン」のご購入はこちら>>> |