チークミートとタンの赤ワイン煮。
牛ならば定番メニューですが、イベリコ豚となるとレストランでも見かけたことがありません。
そんなお料理が自宅で作れてしまうのはなんだか不思議。
煮込んだり冷ましたりの時間はかかりますが、作り方そのものは単純です。
野菜とお肉を炒めてから、たっぷりの赤ワインでくつくつ煮込み、煮汁を漉してできあがり。
[1] タンは熱湯で5分ほど茹でてから皮をむいて(切らずに丸のまま)塩コショウ。チークミート(同)にも塩とコショウを振っておきます。
[2] タマネギ1個(8つ割り)、ニンジン1本(乱切り)、セロリ半本(乱切り)、ニンニク1片(2つ割り)、エシャロット1片(2つ割り)を、バターを入れたお鍋で炒めます。焦げないように気を付けながら約20分。
[3]チークミートとタンに小麦粉をまぶし、癖のないオイルを引いたフライパンでまわりを焼き固め、[2]のお鍋に投入。
[4] 赤ワインを1本分注ぎ入れ、ブーケガルニを加えて煮立ててアクを取り除き、蓋をして弱火で約2時間。
[5] 常温になるまで置いてからお肉とブーケガルニを取り出して、煮汁を漉します。シノワを持っていないので、ザルに木杓子やお玉を押し付けるようにして、野菜の水分を出し切りました。
[6] 煮汁の中にお肉を戻して一度あたため、ここで一晩置いて味を馴染ませました。が、すぐに[7]に進んでも大丈夫。
[7] しっかりあたためて塩とコショウで調味し、バター少量を溶かし込みます。
変わったところは何もない作り方のせいか、珍しい食材を使っていても“よそ”の味にはなりません。
あくまで “うちのおいしいお料理” になるところがおうちごはんのよさ。
レストランとは違い、全体としては親しみのある味に仕上がるからこそ、食材の個性やおいしさが顕著にわかったりもします。
もちろんレストランでイベリコ豚のチークミートを見つけたら、どう扱ってどういうおいしさを引き出しているのか、絶対に食べてみようと思いますが。
チークミートは、大きいもの4枚とその半分くらいのサイズのもの4枚が1パックに入っていました。
写真上のお肉の左側が小さなもの、中央が大きなもの、右がタン(供す際に切り分けました)です。
煮込むとお肉は小さくなりますが、その味わいと、しっかり炒めた野菜の滋味が、ダイナミックに丸々1本使った赤ワインに溶け込んだソースはかなり濃厚。
でも重さはさほど感じないのは、やはり脂の軽やかなイベリコ豚だからでしょうか。
添えたマカロニにソースを絡ませると、口に運ぶ手が止まらない…。
歯切れがいいのに弾力のあるチークミートの、ゼラチン質を含んだまったりさっくりの食感も面白く、また是非作りたいお料理です。